ゴム加工とは

ゴム加工とは、シート状やブロック状のゴム素材(ウレタンゴム、シリコンゴムなど)を図面通りの形状、硬度、色に仕上げていくことです。
ゴム加工方法には大きく「金型成形」と「切削加工」の2種類があり、金型を使うか使わないかでコストや成型品の精度に差が出るため、製品の用途や使用環境によって使い分けが必要です。一般的にロット数が多い場合や、複雑な形状の成形品は金型を使用します。小ロット生産の場合は機械加工で製造する方法もございます。このページではそれぞれのゴム加工方法の特徴を解説します。

ゴムの原材料
設計技術者向け
ゴム製品の設計時に
チェックしたい3つのポイント

チェックマークゴム加工品を検討中の設計技術者の方向けに、
ゴム加工の基礎知識やゴムの主要特性、設計時に気をつけたいポイントを解説します。

ゴム加工の方法‐金型成形

ゴムの金型成形と切削加工の違い

ゴム金型成形 ゴム切削加工
初期コスト ×金型制作費用が必要
形状や取り個数によって金額に大きな差がある
簡易的な形状で1個取りだと10万円弱
高額なものだと200万〜300万
○金型不要なため無し
ランニングコスト ○一度金型を作ってしまえば費用はかからない △都度プログラミング制作費用や段取りに費用が発生
納期 △金型製作の期間が2〜3週間かかるので
リードタイムが長くなる
○初回の生産に関しては早い
量産にむけた試作 ○1個取りであれば必要
本番と近いものが作れる
○金型を使った量産を見据えた場合は同様な製品
ができない早い、安価
量産 ○安価で製作可能 △都度加工が必要で高価
寸法精度 ○図面通りの寸法に仕上げられる ×刃物の状態で交差が変わる・精度の安定がしにくい
複雑形状の製品 ○金型さえ作ってしまえば可能 ×切削では対応できない形状も多い
面粗精度 ○光沢からシボ加工まで対応 ×切削面になる
  • 金型成形のメリット

    • 量産品の製造の場合ランニングコストを抑えられる
    • 寸歩公差が求められる製品に向いている
    • 複雑形状の製品も図面通りに仕上げられる
  • 金型成形のデメリット

    • 金型製作の初期費用がかかるため、少量品には不向き
    • 金型の製作期間がかかるため納期が迫っている場合は不向き

金型成形の方法

  • 【コンプレッション(圧縮)成形】

    最も一般的。金型にゴム素材を投入し、熱・時間・圧力で成形。

  • 【射出成形】

    加熱して溶解したゴム素材に圧力を加えて金型に流し込む。無人での連続成形が可能。金型代が高価になりやすい。

  • 【押出成形】

    材料を押機の中で溶解・流動化させての連続成形。チューブなどの成形に

  • 【巻き蒸し成形】

    蒸気釜を使った加硫方法。金属とゴムを接着する。主にゴムローラーやチューブの成形に

金型成形品の製造事例

  • ブッシュ

    ブッシュ
  • ゴム成形品

    ゴム成形品
  • ガスケット

    ガスケット
  • ボタン

    ボタン

ゴム加工の方法‐切削加工

  • ゴム切削加工のメリット

    • 初期コストが安い
    • 試作や初回生産の納期が早い
  • ゴム切削加工のデメリット

    • 精度が求められる製品には不向き
    • 量産品の場合はランニングコストが高額になる
    • 切削面になってしまう

ゴム切削加工の種類

  • 【プロッタ、ウォータージェット加工】

  • 【トムソン打抜き加工シート材連続型抜き】

  • 【旋盤加工】

  • 【手加工】

  • 【NC加工・NC旋盤加工】

  • 【マシニングセンタ】

各技術の詳しい解説はこちら

ゴム加工の精度(公差)について

一般的にゴム加工品は素材の特性上、寸法公差が生じやすいため、金属加工のように厳密な精度で仕上げることは不可能です。
また、寸法公差の検査方法や検査官によって数値が変わることも多いため、ゴム製品には下記のような寸法公差表が参考とされることがあります。
どうしても精度が必要な場合は、金型を使用する、成形条件(素材、硬度など)を整えることが必要です。

精密なメジャーで寸法を計測

工業用ゴム製品寸法公差表(VDI:ドイツ技術者協会)

寸法区分 1級(精級) 2級(精級) 3級(精級)
0.3以上3未満 ±0.2 ±0.3 ±0.4
3〜6 ±0.2 ±0.4 ±0.5
6〜10 ±0.3 ±0.5 ±0.6
10〜18 ±0.3 ±0.6 ±0.8
18〜30 ±0.4 ±0.8 ±1.0
30〜50 ±0.5 ±1.0 ±1.5
50〜80 ±0.6 ±1.2 ±2.0
80〜120 ±0.7 ±1.4 ±2.5
120〜180 ±0.8 ±1.6 ±3.0
180〜250 ±1.0 ±2.0 ±4.0
250〜315 ±1.2 ±2.5 ±5.0
315〜400 ±1.5 ±3.0 ±6.0
400〜500 ±1.8 ±3.5 ±7.0
500以上 ±0.4% ±0.8% ±1.5%

ゴムの加工不良と対策

  • バリ
    バリ
    原因
    • ゴム素材を切ったり削ったりすることで、加工面には必ずバリが発生します。
    • 金型を使用する場合も、金型から溢れたゴム材料が硬化し、バリを形成します。
    対策
    • 手作業でバリ取りを行う加工を行います。
    • 全数仕上げ、全数目視検査で不適格品を弾く必要があります。
  • ヒケ
    ヒケ
    原因
    • ゴム素材の内部と外部の温度差で膨張率に差が生まれ、成形時に収縮することでヒケが生じます。
    • 温度条件や気候条件でも発生します。
    対策
    • 温度の調整など適切な成形条件を整えます。
    • 全数目視検査で不適格品を弾く必要があります。
  • 気泡
    気泡
    原因
    • 材料に含まれる水分が主な原因です。
    対策
    • 真空引きの成形機を使うことで抑えることができます。
    • 注入圧力や速度の調整など、成形条件を適切することで防ぐことができます。

小野ゴム工業ではゴムの加工・成型に多くのノウハウや実績を
持っています。加工のご依頼やゴム加工の相談は下記よりお問い合わせください。